メキシコ湾での原油流出、福島原発の非常用電源の喪失、JAL123便の墜落等々はじめ複雑なシステムの事故はほとんど設計がもっとしっかりしればどれも防げたかもしれません。
過去の大事故の教訓を受けて数々の安全設計の検証手法が作られてきました。
新規に考案されたシステムの検証は必須です。起動、通常停止、停電、ミスオペ等々の条件下で、どのような挙動になるか安全に停止できるか等々検討して、設計を一部変更したり、追加の装置や計器を追加されたりします。
近年、安全検証自体の手法は普及し、対象システム全部をやることがルールとして徹底され、昔からある確立したシステムまでも検証も新しいシステムと同じように検証を受けています。
ここで問題を起こすシチュエーションがあるのです。
何十年も前に設計は確立しており、標準化され、運転実績は計り知れない数がある老練された信頼性が高いシステムに対して、そのシステムのことを詳しく知らない人達に検証されて、はたして効果があるでしょうか。図面を見ただけでは設計の思想は全ては読み取れません。どうしてここはこうなっているのか、そのシステムの初心者に読み取れるはずはありません。センスの良い素人はそのシステムと同じものがどれだけ長い間、どれだけたくさん使われているか実際を考えて、十分老練されていると判断出来れば何も変更はしません。下手な考えをして、今まで問題なく動いていたものをいじることはしないのです。検証としてはより安全と思える方向に改善出来そうなのでやりたくなりますが、あえてやらないのが正しい判断です。
問題は下手な考えで老練なシステムに変更をすることです。変えることによって他の場所にどんな影響があるか、見逃すことが多いのです。よく考えても気がつかないことがあるのです。だからあえて古いまま設計を凍結する考え方があります。
まとめると、
老練された実績あるシステムはあえていじらない。どうしてもいじらないと明らかに問題が出る場合は、気がつかない影響がどこかに出るかもしれないので、関係者に周知のこと。何かあったら元に戻す勇気が必要。
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