2026-01-01から1年間の記事一覧
小学六年の林間学校で、日光へ行った。宿泊先は旅館ではなく足立区の施設で、床はタイル張り、冷たくて硬かった。だから持ち物に上履きがあった。私は当日の朝、学校に集合したら下駄箱から上履きを出して荷物に入れるつもりでいた。そして見事に忘れた。 気…
小学二年か三年の頃、図工の時間にハサミを忘れた。当時は道具箱などなく、毎回必要な物を家から持っていく決まりだったと思う。忘れ物の多かった私は、その日もまんまとハサミを忘れた。 課題は鳥か動物を折り紙や新聞紙、包装紙、空き箱で作るというものだ…
むかし、ある森に「思念食い」と呼ばれる小さな獣がいた。 キツネでもなく、モグラでもなく、何かに似ているようで何にも似ていない、灰色のちいさな生き物だ。この獣には一つの力があった。人間の頭の中を覗き、その思考を丸ごと読めるのである。 獣はある…
最近、仕事もプライベートもメールはほぼ全部AIに仕上げてもらっている。ただしAIで書いたとは言わない。趣旨や判断や個別の事情まで丸投げできるほど今のAIは器用じゃないからだ。とはいえこれも時間の問題だろう。やり取りの履歴やこちらの情報にアクセス…
ある会社に「本音翻訳機」が届いた。相手の発言をリアルタイムで「実際の意味」に変換する機械だ。 営業部長が朝礼で言った。「失敗を恐れず挑戦しよう」 翻訳機が告げた。「お前たちが失敗しても私は恐れない」 人事が言った。「社員一人ひとりを大切にしま…
少し前の続きとして、もう一つ、私が普段から感じている「パラレルワールド」の感覚について書いておきたい。 私たちは過去から未来へと流れる時間の中で、絶えず「今どうするか」という判断を積み重ねながら生きている。そしてその判断をひとつ下すごとに、…
想い出は美しい。だが、やれなかったことの後悔はもっと長く残る。 だとすれば、素材が多いほどいい。 いつか振り返るための経験を、動ける今のうちに積んでおく。絶景でなくていい。誰かと食べた何でもない昼飯が、十年後に光を帯びることがある。大事なの…
ここだけの話だけど、と前置きして、裏話や個人的なことをつい話してしまう。信用できる相手にしか言わないつもりなのだが、後から冷静に考えると、別に言う必要もなかったなということが結構ある。 相手もまた別の誰かに、ここだけの話として同じことを話す…
人生の持ち時間は決まっている。関わらなくていい人や物に時間を使えば、それだけ他に使える時間が減る。前回書いた通り、レベルの低い反応しか返してこない相手に付き合い続けるのは、時間の浪費であると同時に、静かにこちらの健康を削っていく行為でもあ…
ピンを打てば、たいていの相手は何かしらの手応えを返してくる。的外れでも、こちらの想定の範囲内に収まることがほとんどだ。ところが世の中には、そのレンジを軽々と超えてくる人達がいる。 これだけ簡単な質問を投げたのに、なぜそう返ってくるのか。何度…
レーシングドライバーは、初めて乗る車でもほんの数周で癖を掴んでしまうという。アクセルを踏み込みエンジンの反応を確かめ、ブレーキの効き具合を試し、ハンドルを切って手応えを探る。何本かのピンを打ち、返ってくるフィードバックを瞬時に読み取っては…
休日、リラックスしてますか。 土日は特養へ母親面会に行ってます。 ついに認知症の冬の段階になってしまいました。 自分で食べないし体に力がもう入らないので立たなくてトイレにも行けない。頭の中はトイレに行きたいことしかないようだ。面倒見てくれてる…
私たちは日常的に嘘に囲まれて生きているが、それらの嘘をじっくり観察してみると、奇妙なほど「幾何学的」な構造を持っていることに気づく。嘘つきたちが駆使する仕掛けは、大きく分けて3つの次元に分類できる。### 1次元:泥沼へ続く「時間軸の線」最初の…
チームや組織全体に影響するような、大きな問題が発生したとき。ふと、その場にいる人たちの心の動きを観察してしまう。彼らの対応は、大きく3つのタイプに分かれる。1. 「自分に責任はないし、巻き込まれたくない」としらん顔をする。2. 「自分に責任はない…
前回の「頑張り」の話にも通じますが、職場などで「忙しい、忙しい」と口癖のように言っている人をよく見かけます。本人が勝手に一人で忙しがっている分には、周囲に当たり散らさない限り個人の自由です。しかし、その忙しさが「本当に本質的なところに注力…
ワールドカップ、日本は本当に惜しかったですね。誰の目から見ても「頑張った」と言える熱戦だっただけに、残念でなりません。この「頑張っている」という状態について、少し考察してみたいと思います。### 結果と努力の基準努力の末に結果も出ている状態な…
先週のブログは、少々トーンが尖りすぎていたかもしれない。見返してみれば、どうも愚痴や文句、悪口ばかりが並んでいて、このブログ自体が私のストレス発散の場になってしまっている気がする。これではいけない。せっかくの週の始まりだ。今週を気分よくス…
組織の中に身を置いていると、「あの人は扱いが難しい」と評される人物に必ず出会います。自分のスタイルを崩さず、時に周囲の意見に真っ向から異を唱えるようなタイプです。しかし、その人物は単に組織の歯車として収まりが悪いだけの「扱いにくい人」なの…
世の中を眺めていて、ふと立ち止まる瞬間がある。なぜ、この人はこれほどまでに「失礼」なのだろうか、と。誤解のないようにあらかじめ断っておくが、これは鏡を見ながらの反省文ではない。幸いにして、私は「失礼な人間」の側に属してはいないという自負が…
設計の仕事は新たに物を作ったり図面描いたり説明書類書いたりと思いがちだが、極端に言うと8割の人の仕事は、創造的で無く人がやった仕事をチェックしたり承認したり、はたまたケチつけたりだ。そこに付加価値がつけられていれば良いのであるが、、では、チ…
「センスとスピード」これが、このブログが一貫して追いかけているテーマだ。今の時代、スピードに関してはAIを使えば何倍、いや何十倍にも加速できる。これまで数日かかっていたリサーチや構成案の作成が、ものの数分で目の前に現れる。では、もう一つのテ…
子供でもできるのが、間違い探し。図面が改定されたら、新旧の二つを比べて変更された部分を見つける。正しくはどこが変更されたか、一目でわかるようにされているはずなので、本来は探さなくてもいい。簡単な仕事である。しかし、改定部分がわかりにくい時…
最近、どこを見ても「カスタマーハラスメント」の話題ばかりだ。かつて一世を風靡した「お客様は神様です」なんて言葉は、今や絶滅危惧種か、あるいは悪しき時代の遺物のように扱われている。だが、この風潮を真に受けて「これからは客に毅然と対応していい…
今週、定期健康診断を受ける。 腹部エコーにバリウム、心電図、採血、毎年ひと通りやって異常なし。いや、採血でコレステロール系は注意喚起は最近出ていた。何も自覚症状もなく食べ過ぎがいけないのだけど。 健康は努力もあるけど、結局は遺伝のくじ引き。 …
これまで「話しやすい人」の得ばかりを考えてきたが、ふと逆を考えてみる。いつもしかめ面で「話しにくい人」に、あえてメリットはあるのだろうか。そもそも「話しにくい」には二通りある。一つは、面倒くさくて嫌なやつだから周りが話したくないケース。も…
企業ではどこもかしこも「中期経営計画(中計)」を掲げ、複数年の計画を立ててはその進捗を毎月毎月報告させている。私はもう管理職ではないので横目で気楽に眺めているが、およそ成果が出ているようには見えない。出来もしない人間が担当に据えられたり、…
「飽きる」という現象は、実は非常に贅沢な生存シグナルだ。もし明日食べるものに困る飢餓状態にあれば、毎日同じ芋であっても歓喜して貪るはず。つまり、対象に飽きることができるのは、そこに「安心感」という安全基地が担保されているからに他ならない。…
なぜ、いつも「話しやすい人」でいたほうがいいのか。理由はいたってシンプルだ。自分が気づいていない盲点に誰かが気づき、ピンチの前にそっと教えてくれる――そんなセーフティネットを人生に張るためである。いつでもしかめ面で、声をかけにくいオーラを放…
ふとした瞬間に、時の流れ、、そのvelocity(速度)を感じることがあるだろうか。私たちは日々、その時、その時において「今どうするべきか」という次の行動を常に考えて生きている。実はその決断の瞬間、人間は、いや、気ままに暮らす猫であっても、確率的…
大規模プロジェクトが難航し、企業が致命的な打撃、いわゆる「ゲームオーバー」に追い込まれる事例が後を絶ちません。チャレンジし過ぎたスケジュールや予算設定、昨今の物価高、深刻な人手不足、さらには地勢的な問題など、要因は様々です。これらが絡み合…