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「闇バイトという分業の罠」

最近、ニュースでよく目にする「闇バイト」の話題。振り込め詐欺だの、違法取引だの、なんだかんだで悪事の片棒を担ぐ若者たちが登場するたびに、こいつら本当に自分が何をしているのか、理解してるんだろうか?と首をかしげる


いや、分かってないんだろう。というより、分かっていないふりをしているんじゃないか。単独で考えたら、どう見てもやらないようなことに手を染める。何がそんなに彼らを突き動かすのか?


答えはシンプルだ。「分業」だ。


彼らは、与えられた一部分の仕事だけをやっている。全体のプロセスなんて、あえて見ようともしていない。振り込め詐欺でいえば、手元に渡された封筒を郵便局に届けるだけ。そうすれば、簡単にお金が手に入るって話だ。彼らにとって、それ以上のことは関係ない。自分が犯罪者だなんて認識は落っことしてるわけだ。


これが、何か大規模なプロジェクトにおける分業と似ているという指摘、まさにその通りだ。企業のプロジェクトだって、設計者は設計だけ、製造は製造だけ、営業は営業だけ。全体像を見ずに、自分のタスクにだけ集中することで、責任感がどんどん薄れていく。「これは自分の担当じゃない」「あとは他の誰かがやるでしょ」。これが、いつの間にか大きな事故や不正の温床になる。どこかで誰かが全体像を見て、責任を取らなければならないはずなのに、そういう人はだいたい「自分の責任じゃない」と言い張る。


闇バイトだって同じだ。「俺は指示通りにしただけ」「封筒を運んだだけ」。責任の所在をぼやかすことで、自分がやっていることの罪深さに目を背けられる。これは、ある種の自己防衛でもあり、現代の働き方の縮図だ。分業化が進む社会では、個人の責任感がどんどん薄れていく。それに乗じて犯罪の構造も巧妙化し、若者が知らぬ間に悪の組織の一部となる。


とはいえ、悪事は悪事だ。彼らが自分のやっていることの意味を深く考えずに手を染めたとしても、その結果が犯罪であれば、責任から逃れることはできない。「俺は運んだだけ」では、済まされない。


じゃあ、どうすればいいのか?分業が悪だというつもりはない。むしろ効率化のためには欠かせない。だが、自分の役割が全体にどう影響するのかを常に意識することが重要だ。全体像を知らずに一部を担うことの危険性を、個人が理解しなければならない。バイト感覚で犯罪に加担してしまう若者たちも、会社で働く大人たちも、責任という言葉を軽んじてはいけないんだ。


分業化社会では、「自分の仕事」だけを考えるのは楽だ。だが、楽をして逃げた先には、たいていろくなことがない。分業の罠に嵌るな。