一度嘘をつくと、その後の辻褄を合わせるために、ずっと嘘を言い続けなければならなくなる。これが嘘の持つ本当の恐怖だ。
さらに厄介なのは、嘘がバレそうになった時に人が繰り出す「論点ずらし」である。人間は、他人の論点ずらしに対して直感的な不快感を覚えるようにできている。そのため、はぐらかして誤魔化そうとすればするほど、周囲からの信頼は音を立てて崩れていく。もっとも、相手が専門知識を持たない素人であれば、世間ではこの論点ずらしが一時的に成功しているケースも多い。だからこそ、人は味を占めて同じ過ちを繰り返してしまう。
そもそも、こうした見苦しい嘘の始まりは、まずいことが起きた時の「感情的な反応」にある。怒られたくない、プライドを守りたいという防衛本能的な衝動が、その場しのぎの言葉を生んでしまうのだ。
だからこそ、トラブル直後の感情をいかにコントロールするかが重要になる。まずは焦りのピークをやり過ごす「6秒ルール」を徹底する。もし6秒で心が落ち着かなければ、「一度調べてから報告します」とだけ伝えて、その場を離れてしまえばいい。感情的な即答を避け、物理的な距離を取る。そのまま感情任せの報告はせず、頭を冷やして事実だけを淡々と共有できる状態を作る。これこそが、嘘の連鎖に巻き込まれないための、最も賢明な「逃げの技術」である。
どちらにしても、ずっと自分を盛りつつ嘘を嘘で誤魔化してきた人間は、どんなに成功しても、心は穏やかで無いだろうなあ。