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「リスク保存の法則」

リスク回避というテーマは、大型プロジェクトにおいて非常に重要です。特に、工事などのプロジェクトでリスクがある場合、共同事業体(JV)を組み、他社にその責任を切り離すことが一見効果的なリスク回避策のように見えるかもしれません。しかし、この方法には潜在的な落とし穴が存在します。

例えば、工事のリスクをJVパートナーに委託することで、自分たちのリスクを軽減できたとしても、もしそのJVパートナーがリスクを被り倒産してしまったらどうでしょうか。これでは、リスク回避策が機能したとは言い難いです。実際のところ、このような行為は、トランプのババ抜きで相手にババを引かせるようなものです。

JVパートナーがリスクを十分に理解しないまま引き受けてしまった場合、その責任はリスクを引き渡した側にもあります。プロジェクトの成功には、すべての関係者がリスクを共有し、協力して対処することが不可欠です。自分さえ良ければ良いという精神でリスクを他者に押し付けることは、真のリスク回避とは言えません。

### リスク回避策の再考
大型プロジェクトでは、リスクを他者に丸投げするのではなく、以下のようなリスク回避策を採用することが重要です。

**1. リスクの共有と透明性の確保**
すべてのパートナーがリスクを正しく理解し、共有することが重要です。透明性を確保し、リスクに対する対応策を共同で策定することで、全体としてのリスク管理が強化されます。

**2. 継続的なリスク評価と対応策の見直し**
プロジェクトの進行中にも定期的にリスクを再評価し、状況に応じて対応策を見直すことが必要です。これにより、新たなリスクや変動するリスクに対しても柔軟に対応できます。

**3. 相互の信頼と協力関係の構築**
パートナー間の信頼関係を築くことが、リスク回避の基盤となります。協力して問題解決にあたることで、個々のリスクが全体としてのプロジェクト成功への障害となることを防ぎます。

リスク回避とは、単にリスクを他者に転嫁することではなく、すべての関係者が協力し合いながらリスクに立ち向かうことです。リスクを共有し、共に対策を講じることで、初めてプロジェクトの成功を確実なものにすることができます。

 

大規模プロジェクトにおいて、「リスク対策をしてもリスクを完全に消せないから、やってはいけない」というのは極論です。一方、「リスク対策をしているからどんなリスクも怖くない」というのもまた極論です。この二つの間には、リスクをゼロにすることはできないが、集団的な努力で軽減できるという現実があります。

多くの人はリスクを個人的な問題と捉えがちです。「自分が無事ならそれでいい」という考え方です。しかし、プロジェクト全体の成功を考えると、全員がリスクを共有し、協力して対処することが求められます。これは、コロナ禍におけるマスクの議論と似ています。マスクは感染リスクをゼロにできませんが、集団で装着することでリスクを大幅に軽減できます。

大規模プロジェクトでも、リスクを完全に排除することは不可能ですが、リスクを認識し、適切な対策を講じることでその影響を最小限に抑えられます。すべてのメンバーが協力してリスク管理に取り組むことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。

リスク回避は一人の努力ではなく、集団的な努力で達成されるものです。「リスク対策をしても無意味だ」という極論に惑わされず、「リスクを完全に消せる」とも思い込まず、「リスクは保存されている」との覚悟で油断してはなりません。