エンジニアのセンスとスピード感を磨く方法

大切なのはセンスとスピード感、若手エンジニアに役立つチップス

2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧

脊髄反射

未経験の分野でも、反射的に段取りを語り出す人がいる。流れは確かに合っている。処理も見た目にはスムーズだ。けれど、その手順に“なぜ”がない。 彼らの思考には、内容の重みや意味の深さが欠けている。ただ、「どう動かすか」だけを重視して、「なぜそうす…

「OKですが、」の正体

感じが悪いメールというのは、別に悪口を書いているわけじゃない。言っていることは事実だし、文法的にも間違ってはいない。ただ、受け取ったこっちの胸のあたりに、なんとも言えない違和感がこびりつく。 典型的なのが、「OKですが、」というメールだ。 た…

「正論」と「意地悪」

職場における「正論」は、しばしば剣のように使われる。 それも、斬るための刀ではなく、試し斬りするためのカミソリだ。 「言ってることは正しいけど、なんで今それ言う?」というタイミングの悪さと、 「あなたがそれ言う?」という人選ミス。これが最悪の…

寓話: 『ウサギとカメ』一度しか言わない

ある日、フクロウ校長がウサギとカメを呼びました。 「今日は森を出て、山の頂上にある“知恵の実”を取りに行ってもらいます。ただし途中の石橋は、一度しか通れません。間違ったら戻れませんよ。道順を今から言いますが、一度しか言いません。」 ウサギは「…

虫に食われる

蒔いた20日大根が、ようやく赤く膨らみ始めた。ほんの少し前まで土の中で眠っていた種が、いまはしっかりと根を張り、地上に葉を広げている。その姿は頼もしく、いとおしい。 ところが最近、葉っぱに小さな穴が空き始めた。犯人は言うまでもなく、虫たちだ。…

「ズレた決断と、無理な正義」

前回に「決められない男」と「勝手に決める女」の話をした。 職場にありがちな、でもできれば一緒に仕事したくない二人。で、じゃあこの二人が“決める”という行為に到達したらどうなるのか、というのが今回の話だ。 まず、決められない男がついに何かを決め…

「決められない男と勝手に決める女」

世の中には二種類の人間がいる。 決められない男と、勝手に決める女だ。 まず、決められない男。 たいていの場合、肩書きは課長とか部長とか、そんな「一応えらい人」である。にもかかわらず、彼らの口から出てくるのは、「うーん、どうしようか」「うん、ち…

「箱の方が大切なとき」

箱と中身、どちらが大切かと問われれば、多くの人が「中身」と答えるだろう。だが世の中には、そうとも言い切れない場面がある。 たとえば、プレゼント。中身がハンカチ一枚でも、金色のリボンで包まれた箱を見た瞬間、人は期待に胸をふくらませる。あの高鳴…

なぜペットの犬猫は可愛がられるのか

例によって余計なことを言って国民の逆鱗に触れ、ニュースに取り上げられて炎上してしまっている。 「辞めろ」は江藤大臣なんだけど、ほんとうに辞めるべきなのは石破、お前じゃないのか、と国民の8割くらいは感じていたと思う。彼の下品さは国の恥とさえ言…

余計なことを言う人の脳内地図

たとえば、舞台の真ん中でマイクを握った政治家が、笑いでも取ろうと思ったのか、いや、もしかしたら真剣にウケると思って言ったのか、「米は買ったことがない。売るほどある」と口にしたとき、その場の空気がスン……と冷えた瞬間を想像してみてほしい。米の…

タイミング

ミッション・インポッシブル最新作を観てきた。 今回作で何度も繰り返された「タイミング」という言葉。それは、チームメンバーの盗みの名人も、爆弾解除も、命知らずのスパイも、結局はこの一言にすべてを託す。「今だ!」の一瞬に、すべてを懸けていた。 …

寓話:正論だけを食べるリス

アニマル王国には「ツッコミリス」という生き物がいた。森の平和にも仲間の苦労にも興味はなく、他の動物の話や看板から小さな言い間違いだけを探しては指摘することに情熱を燃やしていた。 その頂点に立つのが、大ツッコミリスのガズーム。どんな立派な計画…

寓話: 『北風と太陽、転職を考える』

ある日、北風は古びたマントをたたみながら言った。 「なあ太陽、もう俺たちの出番なんてないんじゃないか?」 「そうだねえ」と太陽はうつむきながら、自分の光がすっかりソーラーパネル頼りになっていることに気づいていた。 二人は転職サイトを開き、まじ…

寓話: クマと旅人

2人の旅人が山道を歩いていると、突然、大きなクマに遭遇した。 一人は反射的に木に登り、あっという間に高い枝へ逃げ込む。もう一人は取り残され、地面に倒れて息をひそめるしかなかった。 やがてクマは興味を失い、その場を立ち去った。 木の上からのんび…

寓話: 「ウサギとカメとアリとキリギリス」

森の評判というものは妙なものだった。 ウサギとキリギリスは能力も才能もあるはずなのに、なぜか「怠け者」として語り継がれている。一方で、アリとカメは地味な働き者なのに、なぜか「美徳の象徴」扱いだ。 「納得いかないよな」とウサギが言った。 「まっ…

会話が噛み合わない理由

IQが20違うと会話が成立しないらしい。なるほど、それは便利な言い訳だ。だが実際の職場では、もっとやっかいなズレがそこかしこに転がっている。それが「経験20年差」だ。 特に、技術革新の荒波が押し寄せる分野ではなく、職人芸や現場勘、積み上げた失敗と…

「最後の1%が、みんなを不幸にする話」

世の中、「だいたいこのへんで手を打っとくか」という勇気ほど、入手困難なものはない。これは家庭の話でも、技術の世界でも、そっくりそのまま当てはまる。 たとえば、機械づくりの現場でよくある話。あの「最後の1%」を求めたばかりに、プロジェクトはズ…

短篇SF 「考える時間」

この国の教育は、生成AIの進歩によって劇的に変わった。授業ではAIが即座に途中式やヒントを示すが、結論は必ず24時間後にしか開示されない。「自考促進法」による規制だ。 だが生徒たちは、その時間を無駄に過ごし、翌日には問題自体への興味も失っていた。…

短篇SF:「2oo4の賭け」

西暦2090年、人類はかつての反省を踏まえ、新たな意思決定システム「2oo4裁定」を導入した。かつて主流だった2oo3システムは三つのAIモジュールによる多数決で合理的な判断を下していたが、モジュールの一つが故障すれば、決定不能に陥るという致命的な弱点…

短篇SF:「2oo3裁定」

西暦2085年、人類はついに「完全な意思決定アルゴリズム」を手に入れた。それが“2oo3裁定システム”だった。2oo3とは2 out of 3の略。 あらゆる問題は三つの独立したAIモジュールにより審議され、多数決で決まる。二対一で決まれば即実行。それが最も合理的か…

寄せ集め

会社というのはつくづく奇妙な集団である。とりわけ、寄せ集めや中小企業と呼ばれるところは、その奇妙さが際立っている。何しろ、集まってくる面々がバラバラだ。学歴も職歴もバラバラ、何なら人種や国籍まで多様だったりする。これは、要するに「中途採用…

寓話:アニマル村の転職動物たち

アニマル村には、いろんな動物たちが働く会社がある。特に「ナマケモノ製作所」は、どこからともなく集まった動物たちの寄せ集めだ。 新しく入ってくる動物たちは、最初はみんな猫をかぶっておとなしい。でも、時間がたつと本性が出てくる。会議で急に声を張…

「One on One」

最近はどこの会社でも「One on Oneミーティング」なんて横文字が飛び交っています。でもこれ、実は従来の面談とは全然違うらしいのです。 従来の面談は「上司が診察医、部下は患者」。ひたすら上司から問診され、「で、最近どうなの?」と詰問されるだけ。で…

「話しかけにくい人、という職場の災厄」

話しかけにくい人というのは、得てして「威厳がある」とか「自分に厳しい」などと、好意的な解釈をされがちだ。だが、ハッキリ言っておこう。それ、迷惑である。 まず、話しかけにくい人の周りには情報が集まらない。上司であれ、同僚であれ、「あの人、今話…

インドとパキスタン

インドとパキスタンの関係を見ていると、つくづく「隣人というのは厄介な存在だな」と思わされる。 もともとひとつの国だった両者が、宗教の違いを理由に分離し、その結果、カシミールをめぐって今なお銃火を交える関係が続いている。民族も文化も似通ってい…

「知らぬことには口をつぐめ」

世の中で「常識」とされていることが、個人にとって「未知」であることは珍しくない。たとえば、スマホの中身がどう動いているかを知らずとも我々は日々使いこなしているし、宇宙の仕組みや金融工学だって、世間には詳しい人がいる一方で、私のように全くわ…

ターンダウン

「ターンダウン」という言葉は一般的だろうか。 音を下げる。主張を抑える。存在感を消す。要するに、あらゆるものを「控えめ」にする美徳である。発言だとトーンダウンと言われているかも知れない。空気を読むのと同じ系統の、やりすぎると呼吸困難になる類…

「疑似的な認知症」

認知症の母と会話していると、記憶力の低下については本人もある程度自覚している様子がある。だが、「人の話を聞いて理解する力」や、「自分の考えがおかしい可能性」に対しては、ほとんど自省がない。加齢による認知症で仕方がないとは思うが、問題はそれ…

「楽しみが増えると心配も増える」

トマトとナスを植えた。 土を掘り返し、指の間に湿った土を感じながら苗を植える作業というのは、思いのほかセンチメンタルなもので、たとえるなら、はじめてランドセルを背負った子供を校門の向こうに送り出す親の気持ちに少し似ている。 言い過ぎかもしれ…

「最後に被せる」

口げんかに限らず、議論というのは、発言の順番が意外にものを言う。プロ野球のホームゲームと同じで、「後攻」が強い。いや、むしろ「最後のひとこと」によって、勝敗が決まってしまうことすらある。 たとえば、職場の会議で「経費削減のためにプリンターを…