雑用は、物理的な負荷というよりも、心理的な温度差で重たくなる。
言い換えれば、「お前、これやっとけよ」というひと言が、氷のように冷たいか、それとも布団のようにぬくぬくしてるか――そこが分かれ道だ。
たとえば、心の底から信頼している上司に「これ、お願いできるかな」と言われたら、
多少面倒でも「しゃーねぇな」と思いながら引き受けられる。
むしろ、「俺、信頼されてるっぽくない?」と、ちょっと舞い上がることすらある。
それが、嫌味たっぷりな上司だったり、「こいつ人間としてどうなん?」と思ってる先輩から
「おい、これどんな状況か聞いておいて」なんて言われようものなら、
「そんなの何で自分でやらない!」くらいは心の中でつぶやいている。
雑用そのものは、五分で終わることかもしれない。
でも、誰から言われたかで、その五分間が地獄にも極楽にもなる。そして、雑用の結果を報告しても、またケチをつけられることはわかっているのだ。
逆に言えば、同じ雑用でも、
「ありがとう、助かる!」のひと言があるだけで、人間の心は回復するんですよ。
雑用のなかに潜んでいるのは、実は「人間関係」なんですね。
つまり、雑用は「指示」じゃなくて、「関係性」から生まれる感情の反射だ。