大きな会社には、「逃げ場」がある。
人間関係に疲れたら、部署を変えてもらうなり、フロアを変えるなり、最悪トイレの個室で2時間やりすごすこともできる。
だが、小さな会社にはそれがない。
何がないって、「クソから逃げる手段」がないのだ。
クソは、早口でしゃべる。信じられないスピードで。しかも、内容が一方的。こっちの話など、1ミリも聞いていない。
「だから言ってるじゃないですか、あれを昨日のうちに確認してないのがそもそもの間違いなんですよ、いや違うんですって、僕が言いたいのはですね、要するに優先順位の話なんですけど、それも前から僕は言ってましたよね?え、言ってなかった?いやいやいや、記録見たらわかりますって、ログの18時03分、そこに書いてありますから、いや今見てください、今、見れますよね?」
もちろん、クソの言うことにも一理はある。問題は、その一理を言うのに三百理ぶんぐらいの速度と圧力をかけてくることだ。人は、音速の三倍くらいの勢いで話されると、反論する前に“ひれ伏す”という習性がある。
で、何が起きるかというと、社内がクソに「従う」ようになる。怖いから。逆らえないから。そして、それが習慣になる。最初は「クソの勢いに押された」だけだったのが、数ヶ月後には「クソの判断に従うのがスムーズです」とか言い出す者まで現れる。もう、洗脳である。
でもって、人数が少ないからクソを異動させるわけにも、左遷するわけにも、クビにするわけにもいかない。
これ、大きな会社なら「面談」案件である。でも、小さな会社だと、「あいつはああいうやつだから」で済まされる。済まされてしまう。それが怖い。
小さな会社は、アットホームだの、風通しがいいだのと言われる。確かにそうだ。風は通る。でも、その風が「クソの声の風圧」だった場合、もう耐えるしかない。窓もない。換気扇も止まってる。
どっちがいいかって?
「クソに権限を与えないでくれ、それだけだ」