2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧
会議が終わると、誰かが密かに忙しくなる。たいてい若手だ。議事録を書かせるのは「勉強になるから」という建前がある。まあ、嘘ではない。専門用語が飛び交い、文脈不明の昔話が差し込まれ、誰が何を決めたのかも曖昧なまま終わる会議を後から再構成する作…
会議には大きく二種類ある。議題を設け、意見を交わし、結論を探る会議。そして連絡事項を一方的に読み上げる会議だ。後者が問題である。形式上、最後に「ご質問はありますか」と問う場面はある。だが最初から答えるつもりがない。あの沈黙は「質問するな」…
トマトの苗を五つ、ナスの苗を二つ、ゴーヤの苗を二つ、そして土と牛糞を買い、やっと植えた。他に春菊やミニ大根や大葉。大葉は前年の種が落ちて勝手に生えてくる。今回の出費は合計4000円ぐらいかな。トマト、ゴーヤと茄子はかなり収穫できるが、コスパを…
ある会社に「本音翻訳機」が届いた。相手の発言をリアルタイムで「実際の意味」に変換する機械だ。 営業部長が朝礼で言った。「失敗を恐れず挑戦しよう」翻訳機が告げた。「お前たちが失敗しても私は恐れない」人事が言った。「社員一人ひとりを大切にします…
森の動物たちが、新しい泉のそばに集まった。長老のフクロウが言った。「今日から互いを知るために、一人ずつ自己紹介をしなさい」最初に進み出たのは孔雀だった。羽根を広げ、こう言った。「私はペイコックと申します。西の森の出身で、父は三代続いた孔雀…
ある会社で、毎月「MVP」を社員投票で選ぶ制度が始まった。人事部長は言った。「モチベーション向上のためです」社員たちは拍手した。誰もが思った。あれ、これって面倒なやつでは。 W氏は違った。本気だった。理由は単純だ。MVPになれば上司の覚えがめでた…
少し意地悪な問いを立ててみたい。別れた後もずっと忘れられない人がいる。あの人とは、うまくいけばよかった——そう思い続けている人に、こう聞いてみたいのだ。もし別れていなかったとして、あなたは今もその人を同じように好きでいられたか、と。熱烈な愛…
「あの人、評判が悪いらしい」 そんな一言が、一人の人間の印象を決定づけることがある。だが立ち止まって考えたい。その評判は、統計的に見て「信頼できる情報」なのだろうか。サンプルバイアスという落とし穴評判とは、結局のところ「誰かの体験の集積」だ…
前回、感じをよくする五つの習慣を書いた。今回はその裏側だ。本人にその気はまったくない。むしろ普通にしているつもりだ。それでも相手には「感じ悪い」と映っている。そういう地雷が日常にはある。一、話を途中で引き取る相手が話しているのに「あ、それ…
前回、ガイ・カワサキの言葉を借りて「人間的魅力とは、他者への本物の関心と誠実に縁を育てることから生まれる」と書いた。では具体的に何をすればいいのか。今回はその実践編だ。難しいことは何もない。今日から、誰にでもできることを五つ挙げる。一、名…
長年会社員として働いてきて、気づけば周りに部長や執行役員になっていった人たちがいる。今更ながら、あの人がなぜ出世したのか、ようやく見えてきた気がする。稀代の才能と人格を兼ね備えた人は、そもそも別の話だ。「なぜあの人が」と言われるような、ご…
どこにでも必ず一定数いる。「困った人たち」だ。話しかけられるたびにギクシャクし、やり取りするたびに不快感が残り、ろくな結果が出ない。そもそも最初から「どうでもいいこと」に絡んでくるのだから、実りある展開になるはずがない。彼らにとっては「絡…
エンジニアリングとは、何かを「作る」仕事だと思われがちだ。しかし私は、本質は「空想する」ことにあると考えている。設計図が引かれる前に、発明品が世に出る前に、あるいは既存の部品を組み合わせた新しい何かが生まれる前に、必ずそれは誰かの頭の中に…
恐れと向き合えない臆病さについて。 判断を求めると、濁した返事が来る。あるいは、何も返ってこない。意見を聞けば「上から言われてるからです」と言う。決めることを、巧妙に避け続ける。これは慎重さではない。責任を取ることへの恐怖だ。自分が判断し、…
お金を貸すとき、人はたいてい「返ってくる」と思っている。本を貸すときも同じだ。しかし現実は厳しい。貸したお金が戻ってくる確率は、貸した相手との関係性に反比例する。親しければ親しいほど、「まあいつか」という空気が漂い、その「いつか」は永遠に…
「お願いがあるんですけど」と連絡が来る。用件を済ませると、会話は終わる。こちらの状況を聞くことも、負担を気にすることもなく。そしてまた次に必要になったとき、同じように連絡が来る。見積書を送っても返事がない。条件を提示してくる。読んで、目を…
「あの人、なんかデキそう」と思われる人がいる。話し方に自信があり、専門用語を颯爽と使いこなし、会議でも物怖じせず発言する。プレゼンは洗練されていて、メールの返信も速い。初対面の印象は、ほぼ満点に近い。 ところが、一緒に仕事を進めるうちに、じ…
マツダの設計者がかつてこんなことを語っていたという。「車の形には訳がある」と。なるほど、と思う。自動車という工業製品は、人間を乗せて移動するという根本的な制約を抱えている。人体の寸法、視界の確保、衝突安全性、空力特性——これらの条件が複雑に…
重要な案件を失った後、チームに「反省会をやろう」と声をかける。そこに集まるメンバーの顔には、疲労感と少しの気まずさが滲む。そして2時間後、「次は頑張ろう」という言葉とともに会議室を出る——これを繰り返しているなら、そのLLは機能していない。 LL…
「重要なことを優先せよ」とはよく言われる。しかしその「重要」とは、一体誰にとっての重要なのか。この問いを突き詰めると、私たちが日々下している判断の根拠が、実は驚くほど曖昧であることに気づかされる。 視座が変われば、重要度が変わる締め切りが迫…
プロジェクトを新たに立ち上げる際、必ずといっていいほど行われるのがリスク評価だ。解決困難な課題を洗い出し、それが発生する確率とコストへの影響を見積もり、スケジュール遅延の可能性を検討する。このプロセス自体は正しい。問題は、そのプロセスがい…
世の中には、剥き出しの真実が必要な場所と、あえて真実をオブラートに包むべき場所があります。この「真実の使い分け」こそが、物事を円滑に進めるための高度な知恵と言えるかもしれません。物理現象における「誠実さ」機械の故障やシステムの不具合といっ…
職場で避けて通れないのが、「仕事は完璧だけど性格に難がある人」と、「仕事はさっぱりだけどとにかく感じが良い人」、どちらと一緒に働くのがマシかという議論です。特に、一分の狂いも許されない設計や現場の最前線にいると、この問題はより切実になりま…
大谷翔平選手がなぜあんなに「感じがいい」のか。これ、あらためて考えると深いですよね。僕たちの周りには「なんでこの人、こんなに感じが悪いのかな」って人が結構いるじゃないですか。プライドが高くて、ミスを認めず、隙あらば自分を正当化しようとする…
効率や将来を憂えるのは知的な作業だが、考えすぎは毒だ。過去を反省するのは良いが、後悔に浸り続けるのはエンジンを空吹かししているようなもので、燃料を無駄にするだけで一歩も進まない。結局、僕たちにできるのは「今すぐ動く」ことしかない。「犬も歩…
「ダイバーシティ」。教科書を紐解けば、多様な背景を認め合い、誰もが公平に参画できる状態を指すのだという。前職ではご丁寧に、これが人事評価の項目にすらなっていた。だが、組織という閉鎖的な系において、その言葉は往々にして本来の意味を失い、単な…
ほぼ同じ車体のまま、1500ccから2000ccへと買い替えた。真っ先に感じたのは、スペック表の数字以上に大きな「ゆとり」の差だ。一般に「小排気量=低燃費」とされるが、実走行はそう単純ではない。1500ccで2000cc並みの加速を得ようとすれば、スロットルを深…
この間、即レスについて偉そうに書いたが、実はその手前に欠かせないステップがある。それは「相手を解剖する」ことだ。単なるYes/Noの確認なら、迷わず即レスでいい。だが、交渉や込み入った案件なら話は別だ。相手はどう考えているのか。今の立場は。こち…
先日、母親が体調を崩し、一週間ほど入院した。幸い大事には至らず、今は元いた特別養護老人ホーム(特養)に戻っている。「ほどほどの長生き」というのは、本人にとっても家族にとっても、本来は喜ばしいことだ。しかし、この「ほどほど」の調整が人間には…
四月の新年度、新しい環境で「自分は仕事ができない」と落ち込んでいる人もいるだろうが、それは成長過程における最大の勘違いだ。特にプラント建設のような巨大なエンジニアリングの世界では、一人前になるのに最短で七年、普通は十年はかかる。これは個人…