仕事でもモノ選びでも、人はやたらと「実績」にこだわる。
これまでに何をしたか。どこに納めたか。誰が使っているか。
そういう情報が、信用の代わりを果たしている。
そしてそれは、ある意味では正しい。
というのも、世の中には、実績がないまま売り込みに来る輩がごまんといるからだ。
値段を下げて、誰でも知ってる企業名をチラつかせて、聞いてもいないメリットを猛プッシュしてくる。
そういうのに何度も痛い目を見せられてきた人ほど、実績というものを重視する。
で、問題はここからだ。
「実績なんか見てもしょうがないですよ」「今を見るべきです」なんて、さらりと言う人がいる。
そういう人に限って、過去の失敗には無頓着だし、成功のプロセスにも興味がない。
目の前の数字だけを見て、「やれるかどうか」だけを判断する。
でも、やれるかどうかってのは、過去の蓄積の上に立っていることが多いんだ。
もちろん、実績がすべてじゃない。
ある分野で成功したからといって、別の分野でも通用するとは限らないし、過去の栄光にすがっているだけの人間が邪魔になることもある。
けれども、それでもなお、実績というのは「ちゃんとやってきた人の足跡」だ。
あれがあることで、少なくとも「嘘ではないな」という最低限の保証になる。
だから私は、実績が「気にならない」という人を見ると、つい思ってしまうのだ。
この人、自分の仕事を真剣にやってきた実績が、きっとひとつもないんだろうな、と。