エンジニアのセンスとスピード感を磨く方法

大切なのはセンスとスピード感、若手エンジニアに役立つチップス

代わりがいない、という価値

スーパーカーは値落ちしない。高級時計も、状態さえ良ければ買った時より高く売れることがある。理由は単純で、希少だからだ。同じものが世の中に大量にあれば、それはただの中古品として値下がりしていく運命にある。不動産も同じで、良い立地に物件が少なければ、放っておいても値段は上がる。需要と供給、それだけの話だ。

人間も転職市場では同じ理屈で動いている。人間としての価値の話ではない。あくまで市場価値、つまり「代わりがいるかどうか」の話だ。

新卒の時点で、どの分野を選び、どの会社でキャリアを積み始めるか。ここでかなりの部分が決まってしまう。そして厄介なのは、その選択が正しかったかどうかは、何年も経ってからでないと分からないということだ。気づいた時にはもう遅い、というのはよくある話で、だからこそ30歳前後で一度、腰を据えて考えたほうがいい。とはいえ、これがなかなか難しい。目の前の仕事に追われていると、立ち止まって自分の希少価値を計算するなんて発想自体が浮かばないものだ。

大企業で出世したいとか、給料を上げたいとか、そういう話ではない。その専門分野で日本の指折りに入るとか、世界のその業界で名前を知らない人はいない、というレベルの話だ。選択さえ間違えなければ、あとはコツコツやるだけでいい。そのうち運が回ってくる。回ってこなかったら、それはそれだけの話だ。がっかりする必要はまったくない。運が回ってくるかどうかは、こちらでコントロールできる変数ではないのだから。コントロールできるのは、希少価値を積み上げる作業のほうだけだ。

ただし、一つだけ注意しておきたいことがある。希少価値というのは、放っておいても保たれるものではない。むしろ逆だ。希少価値が上がれば上がるほど、それを欲しがる人間が増える。スーパーカーも、いい時計も、いい物件も、価値があると分かった瞬間に誰かが買いに来る。人材も同じで、希少価値が本物になった人間には、必ず声がかかる。

厄介なのは、声をかけてくるのが今の会社とは限らないということだ。むしろ大抵は外からやって来る。今いる場所が、その希少価値をきちんと評価してくれるとは限らない。大事にしなければ、売れていなくなる。それだけの話だ。

会社側からすれば、これは頭の痛い話だろう。だが働く側からすれば、これほど分かりやすい指標もない。自分の希少価値がどれだけのものか知りたければ、声がかかるかどうかを見ていればいい。声がかからないなら、まだそこまでの希少価値ではないということだ。